「9年掛かって借金を返済した」と、明るい顔で語ってくれた。

以前から、苦労しているのを聞いていただけに、自分もほっとした。

いきさつはこうだ。

1990年ごろ銀行はダブついた余剰資金の貸付先として個人をtargetに積極的に売り込みをしていた。

大口の借り手だった企業は、直接金融に向かって取引が減少、銀行はビジネスの方向転換をして個人を狙った。

ゴルフ場、マンション、土地は月ごとに上昇していて、買わないと周囲の人に乗り遅れるような雰囲気だった。

そんな銀行の誘いに借金してマンションを購入したのが親しい知人だった。

やがてバブルが弾け、マンションの価値が下落。

マンションを販売しても当然借金返済には追いつかない。

取り戻すために商品市況に飛びついた。

最初は儲かったが直ぐに損失になった。そして、1億5千万円が借金として残った。

自殺も考え、遺書も書いて、それを誰にも言えなかった。奥さんが偶然、遺書を見つけて初めて、実体がopenに。

返済のための苦闘が始まった。

既に、60歳を越えていた。

会計士であり、専門的職業人であるだけに仕事には事欠かない。

70歳を越えた今も現役の監査役として企業のお役に立っている。

食事つき懇談の場で一部始終を聞いた。

借金完済の宣言する横顔は、嬉しそうで清清しかった。

同席の奥さんの協力も相当なものであったらしい。

これからは、前向きに人生を楽しんで欲しい。                      
                       ロンドンブリッジ

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